港町は基本的に、山が近いことが多く、坂道が多い街になりがちです。
そんな坂を克服するために、港町には面白い乗り物ができることが多い気がします。港町である釜山にも、2016年に面白い乗り物ができたという話を聞き、先日の釜山旅行の際に乗りに行ってみました。
168階段モノレールのある草梁ってどんなところ?
日本とも関わりの深い歴史ある土地
草梁は、釜山駅西側一体を指す地名です。
元々、釜山の中心地といえば、この辺りから南浦洞までの地域でした。江戸時代には、対馬藩の日本居留地(草梁倭館)も、このエリアの龍頭山(釜山タワーのあるところ)に存在していました。
1877年の日朝修好条規による朝鮮開国以降、釜山は開港地となり、貿易港として発展していきます。
1905年には、鉄道(京釜線)が開通し、草梁駅(現釜山駅)が開業すると、このエリアはますます発展していくことになります。

1910年以降の日本統治時代には、多くの日本人が居住した地域でした。そのため、今でも日本家屋が現存しているエリアでもあります。
1950年に朝鮮戦争が勃発すると、戦線を逃れてきた朝鮮北部の避難民が、この草梁エリアに居住するようになりました。
草梁イバグキル
こういう重層的な歴史のある草梁ですが、釜山市は2011年に「ルネサンスプロジェクト」として、釜山駅前から路地歩きの観光名所として、「草梁イバグキル」を整備しました。
「イバグ」は慶尚道の方言で「話」という意味。「キル」は「通り・道」という意味です。
つまり、「草梁イバグキル」=「草梁物語通り」。
歴史ある建物や山の斜面の生活風景を、物語として垣間見られる通りということですね。
168階段モノレールも、この草梁イバグキルのルートのひとつとなっています。

168階段モノレールに乗ってみました
そのモノレールは急な階段のそばにあり
いまいち場所が分からず、釜山駅から草梁伝統市場の方まで遠回りしながら歩いたのですが、なんとか「168階段モノレールはこちら」という看板を見つけました。
ちょうど、上の写真の小道のところに出たのですが、その先に階段が見えます。

168段にしては少ないなと思ったのですが、こちらは違うようです。
階段を登ったところで、おばちゃんが「モノレールはこっちだよ」と教えてくれました。謝意を述べつつ、指さす方向を見ると、ありました。細長~い階段が。

これこそが、168階段ですね。
写真で見ると、そうでもないですが、実際にこの目で見てみると、結構な急勾配です。確かに、この上に住んでいる人にとって、この階段を行き来するのは大変そうです。
そこで今回乗ろうと思っているモノレールができたというわけですね。

乗場はちょうど階段の隣にあります。
エレベーターで、2階の乗場に向かうと、10人くらい並んでいました。2016年に運行開始してから、このモノレールも観光スポットとして注目されるようになったようで、待っている人のほとんどが、観光客のようでした。
ただ、当然このエリアに住んでいる人向けですので、住民の方の乗車が優先されるようです。
(実際、地元の方がいらっしゃって、優先的に乗車されていました。)
なお、基本的に住民の方向けの乗り物なので、無料で運行されています。
いよいよ乗車
乗場に貼ってある注意書きを読むと、「8名以下で搭乗してください」と書かれていました。”結構サイズは小さそうだなあ” などと思っていたら、モノレールがやってきました。

よくよく見ると、目がついてて可愛らしいですね。
中に乗ってみると、長椅子が2脚ありましたが、8人入るのがやっとという感じの大きさ。扉は自動的に閉まるようで、早々に出発しました。

モノレールの中は、四方が大きな展望窓になっていて、外の景色がよく分かります。モノレールは、だんだん高度を上げながら、急勾配を登っていきます。
車内から釜山の景色を眺めつつ、
モノレールはどんどん高度が増していきます。上から見たら、急勾配っぷりが分かりますでしょうか?
終点は展望台
モノレールの乗車時間は、ものの2分程度ですが、高度が高くなるにつれ、視界が広がっていくので、車窓の変化を楽しむことができます。

終点は展望台となっており、展望台から釜山港の景色を一望することができます。釜山駅や釜山港大橋、影島などが見え、素晴らしい光景を見ることができました。夜に来たら、夜景も綺麗なんでしょうね。

釜山駅から168階段モノレールへの行き方
168階段モノレールは釜山駅裏手にあるのですが、場所が少し分かりづらいので、釜山駅からの道も書いておきます。

基本的には、草梁イバグキルに沿っていけば、168階段にはたどり着くのですが、このイバグキルが分かりにくいのです。
イバグキルの案内板です。”Ibagu-gil”と書かれています。 スタート地点。釜山駅を背にしています。
まず、釜山駅そばのスタート地点から、まっすぐ釜山駅を背に、上の写真の道を進みます。ところどころ、イバグキルの案内板が設置されています。
五差路に突き当たるので、ここを右に曲がります。 すぐに、この路地の入口が見えるかと思います。
車の後ろ側の路地です。
先ほどの道を進むと、五差路に出ますので、右に曲がります。そうしますと、すぐに右手に路地がありますので、そちらに入ります。この路地が分かりにくいです。
路地は、まさに住宅街の裏道といった感じ。 路地の先に階段があり、上ると目の前に小学校。
ここを左折。
路地は住宅街の裏道みたいな道で、合っているか不安になりそうですが、写真の通りの道であれば間違いありません。
路地の先には階段があり、そこを上ると、目の前に小学校があります。ここを左折します。
小学校の敷地のとなりに、草梁教会があります。 小学校と草梁教会の間の道を進むと、
168階段にたどり着きます。
小学校の隣に、草梁教会がありますので、小学校と教会の間の道に入ります。その道を進むと、168階段に到着します。
まとめ
港町・釜山の山がちな地形を克服するためにできた、面白いモノレールをご紹介しました。
釜山を訪れた際は、釜山の歴史や生活を感じさせるイバグキル観光と一緒に、乗りに行ってみてはいかがでしょうか?

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